※作中では忍者に追いかけられるシーンはありません

あの小笠原朋子先生の海外旅行記です。とびだせニッポン!

とびだせニッポン! (akita essay collection)

とびだせニッポン! (akita essay collection)

あのと言われてもピンと来ない人に説明すると、小笠原朋子先生とは4コマ漫画誌に多数の連載を抱える売れっ子4コマ漫画家です。代表作は「さくらハイツ102」「悪の生徒会長」など多数あります。
描かれているのはごくごくフツーの旅行風景。パック旅行だし、行き先はニューヨークにハワイ、韓国という王道というかベタというか。エピソードも大きな山があるわけでなく、ここら辺を物足りなく感じる人もいると思いますが、この平凡さがいいと思いました。自分が海外に行く時もこんな感じなのかと思わせるような、親近感。例えば「エアコン消し忘れた」なんていうありがちなミスがさぞ大事のように描かれているのですが、実際それやったら結構ヘコみますよね。言うなれば「小市民さ」が端々から感じ取れます。そういう描き方が作品のコンセプトであろう「海外に行った事のない人に興味を持ってもらう」というのにプラスになっています。ねこじる先生のインド旅行記の敷居の高さに比べて、なんと気軽に楽しめることか。この2つは好対照です。
あまり多くを求めず、気軽に読める旅行記。値段も気軽だったらオススメしたいんですが900円とちと高い。900円くらいする漫画にはプラスアルファを求めてしまうと思うんですが、そういう感じじゃないんですよね。小笠原先生のファンだったら先生の私生活がうかがい知れるマストバイアイテムなんですが。
プラスアルファと言えるのは、同行者として出てくる師走冬子先生の存在ですかね。彼女もまた著名な4コマ漫画家。4コマ誌の他にコミックハイでも連載している漫画家です。師走先生は金髪好きなようで、可愛い金髪娘を見て興奮してるとこなんかまるっきり「あいたま」の主人公の暮巳あいが浮かんできます。あの変態一歩手前な感じは作者の素の部分から来てんのかと思うとまた面白かったり。普段読んでる漫画家の実生活を覗けると、作品だけでは分からない面が見れるってのがいいです。サイン会に行くのなんかも「僕の好きなこの漫画は一体どんな人が描いているんだろう?」という疑問を満たせるというのが大きいと思います。それと同じ。じゃあファンじゃない人はこの本どうなのよというと、ファンになってしまえば問題ない。
師走先生の漫画がオマケとして4ページ入ってます。