あのと言っても分からない人はググって下さい

あの小坂俊史先生と重野なおき先生の同人誌で発表した作品集です。ふたりごと自由帳。

ふたりごと自由帳 (まんがタイムコミックス)

ふたりごと自由帳 (まんがタイムコミックス)

普段の仕事では出来ないものを同人誌で発表。ということでいつもとは違うスタイルが楽しめました。特に小坂先生は、いつもは4コマ目できっちりオチをつける印象でしたが、この本では余韻を残しているのが印象的でした。「死」をテーマにした4コマなんかは、淡々とした中に作者の死生観というか、人の人生に対する優しさのようなものが感じられました。これを描いたのと同じ人が「やまいだれ」という病気をテーマにしたお気楽なギャグ4コマを描いているってのが面白い。
重野先生はほぼ非4コマの恋愛劇で統一。全体的に甘い。甘ーいと叫びたくなるほどに。悲恋の渋さも含めラブコメ好きにはたまらない甘さでした。2人を比べて思ったのは、重野先生のほうが普段の仕事から色々な作風に挑んでるんだと感じました。そのため小坂先生ほどには普段の作品と同人誌との乖離は感じられなかったです。自分の中の小坂先生のイメージが「ギャグ4コマの人」というのが強いというのが原因かもしれません。これからはその固定観念を捨てて小坂先生の作品を違う面からでも楽しめると思います。
小坂先生のことばっかかいてますけど、重野先生も良かったんですよ。

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ポトチャリポラパさんのレビュー。
2人の作品の方向性の違いがまとめられていて、非常に参考になります。
http://moso.chu.jp/archives/2007_07_000014.php
2人の同人サークル「ジャポニカ自由帳」のデータベース。今回の単行本化に際しての加筆の有無もまとめられています。

※作中では忍者に追いかけられるシーンはありません

あの小笠原朋子先生の海外旅行記です。とびだせニッポン!

とびだせニッポン! (akita essay collection)

とびだせニッポン! (akita essay collection)

あのと言われてもピンと来ない人に説明すると、小笠原朋子先生とは4コマ漫画誌に多数の連載を抱える売れっ子4コマ漫画家です。代表作は「さくらハイツ102」「悪の生徒会長」など多数あります。
描かれているのはごくごくフツーの旅行風景。パック旅行だし、行き先はニューヨークにハワイ、韓国という王道というかベタというか。エピソードも大きな山があるわけでなく、ここら辺を物足りなく感じる人もいると思いますが、この平凡さがいいと思いました。自分が海外に行く時もこんな感じなのかと思わせるような、親近感。例えば「エアコン消し忘れた」なんていうありがちなミスがさぞ大事のように描かれているのですが、実際それやったら結構ヘコみますよね。言うなれば「小市民さ」が端々から感じ取れます。そういう描き方が作品のコンセプトであろう「海外に行った事のない人に興味を持ってもらう」というのにプラスになっています。ねこじる先生のインド旅行記の敷居の高さに比べて、なんと気軽に楽しめることか。この2つは好対照です。
あまり多くを求めず、気軽に読める旅行記。値段も気軽だったらオススメしたいんですが900円とちと高い。900円くらいする漫画にはプラスアルファを求めてしまうと思うんですが、そういう感じじゃないんですよね。小笠原先生のファンだったら先生の私生活がうかがい知れるマストバイアイテムなんですが。
プラスアルファと言えるのは、同行者として出てくる師走冬子先生の存在ですかね。彼女もまた著名な4コマ漫画家。4コマ誌の他にコミックハイでも連載している漫画家です。師走先生は金髪好きなようで、可愛い金髪娘を見て興奮してるとこなんかまるっきり「あいたま」の主人公の暮巳あいが浮かんできます。あの変態一歩手前な感じは作者の素の部分から来てんのかと思うとまた面白かったり。普段読んでる漫画家の実生活を覗けると、作品だけでは分からない面が見れるってのがいいです。サイン会に行くのなんかも「僕の好きなこの漫画は一体どんな人が描いているんだろう?」という疑問を満たせるというのが大きいと思います。それと同じ。じゃあファンじゃない人はこの本どうなのよというと、ファンになってしまえば問題ない。
師走先生の漫画がオマケとして4ページ入ってます。