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わたしが知ってるスゴ本は、きっとあなたが読んでない

ブログでは報告していませんでしたが、書店員になりました。いや、なってました。幸運にも現在漫画売場を任されていて、というかまさかこんな新米に任されるとは思いもよらず右も左も分からない状態ですがやる気だけは多分あるんじゃないかと思います。
これからは腰痛と戦いつつクビ切られない様に頑張ります。
ということで、これからは書店員ネタもやっていきたいと思います。もっとも、まだまだ分からない事だらけなのでそっち系を書けるにはまだ時間がいると思いますが。シュリンクに関してはいつかやらなければと思います。

今回は、書店員に関するネタという事で今月号のオトナファミの記事について書きたいと思います。

オトナファミ 2008 AUGUST [雑誌]

オトナファミ 2008 AUGUST [雑誌]

3000店の書店からインタビューをとった、「第2回NEXTブレイク漫画ランキングBEST50」という企画が載っています。インタビューに答えている書店員の1人がとある書店員ブロガーと同姓同名なのはつっこんでいい所でしょうか。

この企画に、書店員であるササナミさんがチクリ。
http://d.hatena.ne.jp/sasamanga/20080620/1213980395

選ばれた漫画がつまらないとか言ってるわけじゃない。どこが「青田買い」なんだ、と言いたいんだ。とっくにブレイクしてる漫画ばっかりじゃないか!

漫画好きとしては名前の知っている作品の羅列で、同意するのですが、多分僕やササナミさんが感じる「ブレイク」とオトナファミや多くの人が感じる「ブレイク」が違うのだと思います。

漫画の「売り上げの段階」を、実際の例を挙げて説明してみます。

レベル1みつどもえクラス(一部マニアに大人気)
レベル2シグルイクラス(多くの漫画ファンが夢中)
レベル3へうげものクラス(多くの層に読まれているメジャー誌の人気作)
レベル4魔人探偵脳噛ネウロクラス(競争激しいジャンプで長期連載)
レベル5銀魂クラス(ジャンプの人気作品)
レベル6・ナルトクラス(ジャンプの大黒柱の一つ)
レベル7・ワンピースレベル(現在世界一売れている漫画)

*1

ここでレベル1としたみつどもえですが、週刊少年チャンピオンにて短期集中連載という形で始まり、連載化し、単行本化を果たし、今では同誌の人気作品の1つと数えられるほどになりました。底辺からの「人気の急上昇」→「ブレイク」を果たした作品と言えるでしょう。
ただ、「人気の段階」は多くありまして、例えば「レベル3」作品が「レベル5」になったとしてもそれはブレイクと言えるのです。

のだめカンタービレの例を挙げましょう。
NANAと並び、現在少女漫画の最高のヒット作とされるのだめカンタービレ。この作品は、連載初期は人気が低かったけれど尻上がりに高くなっていったという経緯があります。
MANTANWEB(まんたんウェブ) - 毎日新聞デジタル

「ドラマ化をきっかけにブレイク」と書かれています。「3巻発売時で様子が一変」とも書かれているから、これもブレイクとも言えます。不人気作から人気作になったのだめ。漫画好きなら読まないものがいないほどの作品となりました。そんな、「大人気作」だったのだめでも、ドラマ化をきっかけに更に人気が急上昇しました。
つまり、「レベルゼロ」→「レベル1」がブレイクだとしても、既に人気のある「レベル4」作品が「レベル7」作品になるのもブレイクだという事です。
そして、重要なのはのだめがドラマ化以前から人気作であっても知らない人はたくさんいたこと、そして、ドラマ化をきっかけに更に多くの人が知ったことです。
漫画好きにとっては「3巻ぐらいから人気が出たよね」でも、大勢の人にとっては「ドラマで流行ったよね」になるのです。

聖☆おにいさんは、1巻発売時点でブレイクした作品です。一気に話題になり、品切れが続出し、売り上げランキングでもいきなり上位に名を連ね、同じ出版社の雑誌には一気に広告が載り、作品と共に作者の知名度も急上昇。今年最大級のブレイクを「すでに果たした」漫画です。
ただ、ブレイクを果たしたといってもまだ上の例ではレベル3行ってない位?です。夏には続巻が発売され、今後「第2回・第3回目のブレイク」が堅いと予想されます。納得の1位ではないでしょうか。
聖☆おにいさんを知らない人はまだまだたくさんいます。そうした人たちに知らしめるためにも、この漫画が1位になったことは意義があります。書店員以上に、お客さんは漫画を知らない。そして、そういう層でも読むのが漫画の強さなんじゃないでしょうか。「特に漫画好きじゃないお客さん」に、「この漫画人気なんですよ」と分かってもらう楽しさってあるんじゃないでしょうか。
人気だとか知名度というには段階があります。「漫画好きが誰もが知っている漫画」でも、「多くの人は知らない」ものなのです。

自分も漫画好きだし、マイナー漫画好きだし、マイナーでももっと面白い作品があるという事を知ってほしいけど、「既に人気作だけどまだ知らない人多いからもっと知ってほしいよね」という思いも強いんですよ。そして、お客さんの「最大多数の最大幸福」を考えたら人気作の更なる販促の方が優先順位上なんじゃないかと。
「マイナー漫画でも面白いものがある」と言っても、「じゃあその内ブレイクするだろうからしたら揃える」という担当者がほとんどなんじゃないでしょうか。だってそれ商売的には割と正しい。先物買いは当たればでかいけど手間とリスクが大きいですから。

後はオトナファミの読者層でしょう。特に漫画好きが買う雑誌というわけではなさそう。非漫画好きにとって十分青田なんですよ。のだめとワンピースしか知らない人が一杯。それが現実。でも、そういう層が漫画を買うからこそ漫画文化の強さがあるんです。

まぁ漫画マニアが青田を探したい場合は、雑誌のアンケート記事なんて気にしないで、ネットでいうとマンガ一巻読破さんやDAIさん帝国さんあたりを見るほうが良いです。あそこは漫画好きにとっても青田の漫画を教えてくれます。

あと、結構自分としては興味深い作品がありましたよ。特に30位の作品は、その珍妙なタイトルと表紙の絵に興味を持っていたのですが、どういう漫画か分からずに敬遠してました。この記事をきっかけに買おうと思います。そう思える作品が数点あっただけでも自分には有意義なものでした。

…しかし、「もうブレイクしてる」とか「今後更にブレイクする」という扱いを中村光先生の作品ですることになるとは、荒川アンダーザブリッジのファンとして感慨ぶかいです。もちろんおにいさんも好きですが。「バンブーブレード大ヒットで複雑な思いのマテリアル・パズルファン」と同じ様な心境です。

チャンピオン系列が全く載っていないのはファンとして衝撃であり、その点についてはまた別の機会で書きたいと思います。

タイトルリスペクトわたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

*1:売り上げのレベルは、自分の実感を元に作っているので不正確だとは思うけど、大体こんな感じなんじゃないかと。細かいツッコミがある人は指摘してもらえると助かります。