幅広すぎる漫画家インタビュー集 漫画家誕生 169人の漫画道

漫画家誕生 169人の漫画道

漫画家誕生 169人の漫画道

地方新聞の雄「信濃毎日新聞」紙上で、
毎週毎週、ひたすら漫画家
会って、
訊いて、
撮って、
書いて、
気がついたら連載4年!
そこには、
十人十色なんて目じゃない、
169人169色の人生があった。

(単行本のオビより)
こういう本です。
169人も漫画家がいれば、誰か好きな漫画家はいると思います。古本屋でペラペラとめくってみて、とりあえずみなもと太郎先生とおおひなたごう先生がいたから購入。でもこの本の魅力は、むしろ「知らない漫画家を知れる」という所にあると思います。
とにかく扱う漫画家のジャンルが幅広い。169人いて、「偏り」を感じさせないチョイスになってます。169人漫画家を集めるとなると、普通は選ぶ人の趣味が出てくるだろうに、それが感じられません。そこが凄いと思います。

●インタビューを受けた漫画家のうち、とりあえずア行だけ紹介

青木光恵先生、朝倉世界一先生、浅田寅ヲ先生、あさりよしとお先生、安彦麻理絵先生、あびゅうきょ先生、阿部潤先生、安部吉俊先生、粟岳高弘先生、安野モヨコ先生、井浦秀夫先生、五十嵐大介先生、いがらしみきお先生、いさやまもとこ先生、石坂啓先生、泉晴紀先生、イダタツヒコ先生、一条ゆかり先生、伊藤潤二先生、伊藤理沙先生、井上三太先生、井上雄彦先生、いわしげ孝先生、いわみえいこ先生、内田かずひろ先生、内田雄駿先生、うつろあきこ先生、宇仁田ゆみ先生、海埜ゆうこ先生、永福一成先生、江口寿史先生、衿沢世衣子先生、大石まさる先生、大久保ニュー先生、オオノサトシ先生、おおひなたごう先生、岡田がる先生、小川彌生先生、沖野ヨーコ先生、長田悠幸先生、尾瀬あきら先生、小田空先生、小田扉先生、小山田いく先生

リクエストあれば全員載せるけど、結構辛くて・・・どっかのサイトに載ってないでしょうか。でもこれだけ載せれば、如何に広いジャンルの漫画家を集めているか分かると思います。メジャーからマイナー、ベテランから新鋭、ギャグ、サブカル系、男性向け、女性向け、エッセイ、4コマ…「漫画好き」を自認する人でも、全てのジャンルは見渡せないもので、自分の知らない世界が見えると思います。

見開き1ページに作者の写真、簡単なプロフィール、漫画の画像にインタビューの抜粋と著者の作品・作者への評、という構成。端的にまとめられていて、漫画化1人1人の特色が見て取れます。
絵へのこだわりを語る作家がいれば、和田ラジヲ先生のように全くこだわらない人も。自分の個性を出したいと語る作家がいれば、「職人に徹して」いると語り原作付き漫画を描くはしもとみつお先生。どれが正解なんてないし、どれも正解なんでしょうね。それぞれの作家の考えを知ることが出来る貴重な本だと思います。発売されたのが2006年、連載期間は1999年〜2003年なので「今」を知るというには古いかもしれませんが、それを差し引いてもオススメです。

自分はエッセイ漫画と(少女漫画でない)女性向け漫画を全然読んでないなぁと実感しました。ここら辺ももっと手を出してゆきたいです。

一番気になったのが、ゲイのギャグ漫画家。熊田プウ助先生。ゲイをネタとしてイジるのではなく、「ゲイの日常をコミカルに」ってのに興味を持ちました。こういう本を読まなかったら恐らく知る機会がなかったと思います。
あとおおひなた先生、酒を飲みながらインタビューに答える所がらしいです。きっと酒に酔いながら「忍者か超能力者になりたかった」なんて語ったんだろうなぁ。おおひなた先生の酒豪っぷりを知るには二ノ宮知子先生の平成よっぱらい研究所がオススメ。

平成よっぱらい研究所―完全版 (祥伝社コミック文庫)

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