濃密な人間ドラマ AV列伝

AV列伝という漫画をご存知でしょうか。「弁護士のくず」で名の売れた井浦秀夫先生が書く、AVに携わる人々を描いたドキュメンタリー漫画です。最近出たビックコミックの増刊にて完結しました。
AV列伝という名前からして単なるエロ漫画に思われそうですが、この作品は違います。必要以上にエロ描写があるわけでもなく、ある程度淡々と話が進みます。しかし、漫画に出てくるAV業界の人が皆信念を持っていて、そこに引き込まれます。
なんとなくエロには悪いイメージがあるものです。なんとなく後ろめたい。しかし、それに携わっている人は、誇りを持っていて、世間のイメージや規制、評論など、何かと常に戦っているのです。アダルト業界の人の魂を感じます。
題材がAVだからか、連載雑誌が増刊だからか、この作品は過小評価されている感がありますが、ルポ漫画としてヤンサンの小田原ドラゴンクエストや絶望に利くクスリに比べてもなんら見劣りしないのに、知名度の差がある気がします。
とある人が「ビックコミックなんて雑誌大嫌いだ」と言っていましたが、どの雑誌にも読み応えのある漫画があるのだと思いますが。
有名なAV業界の人が多数出てくるので、AVの好きな人は無条件で楽しめると思いますが、AVの嫌いな人、軽視している人にこそ読んでほしい作品です。
AV烈伝 6 (ビッグコミックス)
画像がなかったです。本当にマイナーすぎて残念です。