「味わわせる」は 「わわ」の部分で
違和感を 味わわされる……
「殺風景」って言葉を見てたら
地獄絵図が浮かんだ!!
そんなことばっかり考えている女の子、サナギさん。
- 作者: 施川ユウキ
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: コミック
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前作「がんばれ酢めし疑獄!!」に漂ってた暗さ・鬱っぽさが、サナギさんを始めとした愛嬌のあるキャラクターでマイルドになり、なってはいるんだけど確実に残っているから変な塩梅になっています。
例えばサダハル君。ネガティブ思考の少年。施川ユウキ先生はネガティブをギャグに転化するのがとても上手いと思います。大雨が降っている時、「雷が鳴ったらおヘソを取られる」という迷信を信じて泣きじゃくる幼き日のサダハル。
取られない!
おヘソが 取られないよ!
どうせ僕なんて…
誰からも必要と されない人間なんだ!
そう おヘソさえも!!
一体どうやったらこんな発想できるのか作者の正気を疑います。すかさずサダハルの友人のタカシが、いつも通りサダハルを殴ってツッコむわけですが、タカシのベタなツッコミのおかげでサダハルの暗さが尾を引きません。これは酢めし疑獄の頃と比べて進化したといえると思います。少なくとも変化はしました。渋沢警部にしろオニムラにしろ、読んだ後に嫌な感覚が残りましたから。(そこに中毒性があったのも事実です。)
「踏む」という行為に異常な執着を見せるマナミさん。いかにも子供特有の残虐性を思わせますが、よく考えればみんな中学生な訳で、かなり危ない人物に映るはずなのに、サナギさんが純粋さ、可愛さを持って接することで彼女の毒が和らいでいると感じます。常に毒を吐くフユちゃんにも同じことが言えます。サナギさんとの仲むつまじい姿が癒してさえくれます。
サナギさんが作風を和やかにしてくれるというのは分かりやすいと思いますが、気が短くてすぐに手が出るタカシにも、実は同じことが言えると思います。裏表紙の「毒舌系ほのぼのギャグ」という言葉、分かりづらいですがピッタリな表現だと思います。
言葉遊びの巧みな作家なので、出来れば文章ももっと読んでみたいです。