やっぱり藤田和日郎は最高ッス! 黒博物館スプリンガルド

黒博物館 スプリンガルド (モーニング KC)

黒博物館 スプリンガルド (モーニング KC)

邪眼は月輪に飛ぶの帯で「藤田和日郎なんだから凄くて当然この作品がすごいのは当たり前です。藤田和日郎なんですから!」と言ったのはあだち充先生。凄いってのが当然過ぎて褒め言葉にならないってことですか。
それでも言わせてもらいます。「黒博物館スプリンガルドは凄い」と。
19世紀ロンドンの雰囲気をリアルに感じさせる描写・バネ足ジャックのアクションシーン・敵役の歪み・短い中に詰め込まれたストーリーの起伏…さすがとしか言いようがないです。毎回読んでて引き込まれたし、こうして単行本となって一気に読み返しても面白い。
ここまではある意味「藤田和日郎なんだから当然の面白さ」というものですが、この物語で僕が特に良いと感じたのはで、ある男の片思いが描かれている所です。
男は破天荒な行動で知られた放蕩者。その割に、ある女性を好きになった理由は情けないと感じられるもの。そこら辺凄く純情。乙メン。
昔を思い返した後につぶやく「イタかったよなァ あれは…」や、男が彼女を見送るシーンなどの切ない片思いっぷリに心の琴線を鷲掴みにされました。これも一種の「萌え」ですか。
彼女を見送る場面は名シーン。
全1巻とは思えない、濃い物語でした。
あと物語の語り部ポジションにいるキュレーターの姉さんが可愛すぎる。からくりサーカスのジジイよりこっちの方が良い。