Vtuber楽曲大賞2020について①星街すいせいって存在が面白いよ

Vtuber楽曲大賞2020、イベント後に存在を知ったわけなんですが、選ばれた曲群を追っかけるうちに音楽V界隈への興味関心がメキメキ湧いてきたので、何回かに分けて記事にします。

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第2回VTuber楽曲大賞開催 楽曲部門1位はホロライブ・星街すいせい「NEXT COLOR PLANET」 | PANORA

基本的に、このイベントを通して知った人達の話をしたいのですが、まず最初は自分にとって既知のホロライブ勢の話。

僕のツイッターをフォローしてる人はご存じかと思いますが、ここ1か月ちょっとの間に急激にホロライブにハマっています。推しは兎田ぺこらという配信者なんですが、ここでは一旦割愛。

楽曲部門1位、MV部門3位に輝いたホロライブ所属の星街すいせいさんの話をしたい。

(以下敬称略)

 「ハイハイ大手事務所の人気票で1位なのね」って思った人、もちろんそういう面もあるだろうけど、星街すいせいって子はなんつーか特殊なんですよ。

星街すいせいという存在の面白さ、過激さをみんなにも知ってほしい。いや、僕も知って日が浅いんですが、調べれば調べるほど「こんな面白いやつがおったんか」となります。

まず、個人勢Vが、転生なしに大手事務所に所属になったという珍しい経緯の持ち主です。

個人勢、星街すいせい

Vtuberを雑に2つに分けると、「個人で諸々を用意する個人勢」と「企業が運営する企業勢」があります。

営利が故に採算分岐点が重要になる企業勢とは違い、個人勢Vtuberは活動スタンスが人それぞれ。「身の丈にあえば」というスタンスでやっている人も多いです。
しかし星街すいせいは、アイドルVtuberとして大成したいという野望がありました。
なんてったって目標は「武道館でライブ」*1しかしながら数多のVtuberがひしめく状況下、ビッグなサクセスは掴めずにいました。 

 転機となったオリジナル曲

 後ろ盾のない個人Vでありながら、高い野心とモチベーションを持って活動を行っていた星街すいせい。

彼女は成功のために、できることなら何でもやるというスタンスで活動をしていくのですが、その1つにオリジナル曲の発表がありました。ミュージシャンに楽曲制作を依頼するという、後ろ盾のない個人が行うには結構なハードルでしょう。

活動1年目の節目に発表したオリジナル曲第2弾、「天球、彗星は夜を跨いで」は彼女の転機となります。

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プロのミュージシャンであるキタニタツヤ*2に作成を依頼したこの曲は、素人の個人Vのオリジナルとは思えない迫力のあるものでした。

個人的にも、ホロライブにハマって色んなVの過去動画をあさり、「めっちゃかっこいい…なんなのこの曲…ホロライブ凄いじゃん…え?個人時代に出した曲???」と、衝撃を受けました。

この曲が、音楽Vtuberとして活動していたAZKiさんと、そのマネージャーを務めているラニミズさんの目に留まります。
(以下敬称略)

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「ツラニミズ絶賛」としてAZKiのラジオでも紹介された回。

企業所属を目指す 

個人として活動しながら、その限界を感じていた星街すいせい。

大きな舞台に立つためにはサポートが必要だと感じ、Vtuber事務所のオーディションを受けます。

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↑の切り抜き動画にて、企業所属後に当時を振り返っています。

オーディションの結果も最初は振るいませんでした。
落選の理由に、現在の「星街すいせい」のままで企業Vになる希望に難色を示されたというのがあったようです。

*3

「転生」すれば今自分に必要な、支援、人出、知名度注目度などが手に入るかも。ただ星街すいせいは、星街すいせいであることを諦めませんでした。

ホロライブでのオーディションに一度は落選するも、「再考を」と食い下がりったことにより、新しく結成される音楽重視の新レーベル、「イノナカミュージック」への所属が決まります。
彼女にとって、念願の企業所属でした。
今の自分のままで新たなステージに立つ。これをしたくても叶わず、「キャラクターとしての引退」を選んだVtuberも多くいるでしょうが、彼女は成し遂げたのです。

 そこで再会したのが、ホロライブを運営するカバー所属だったツラニミズとAZKi。イノナカミュージックのメンバーとして、共に行動することになります。 

 イノナカからホロライブに転籍

2019年5月にイノナカミュージックに所属した 星街すいせいは、活動の方向性の違いにより、同年12月にホロライブに転籍します

 転籍したことに対して「自分の力不足によって起こった要素も多」いと語ったマネージャーのツラニミズ。そして自分たちから去る同僚にエールを送ったAZKi。

AZKiは、オリジナル曲作成にライブなどの音楽活動の他、様々なVtuber楽曲をとりあげる企画・音楽を止めるなの主催等、音楽に重点を置いた活動を行っていきます。

一方で星街すいせいは、他のホロライブメンバーがそうであるように、歌だけでなくゲーム実況配信など雑多な活動を行っていきます。
かつて「器用貧乏」と言われた*4反動からか、個人勢時代から「できることなら何でもやる」の精神で精力的に活動していきます。
ホロライブメンバーとは距離感があったイノナカ時代に参加した人狼コラボでも、暴れまくります*5。何事にも精いっぱいな星街すいせいは殺人ゲームにおいて全力でホロライブメンバーに殺意をぶつけ、その結果「サイコパスすいちゃん」として知名度もアップ
所属メンバーからコラボを持ちかけられることもだんだん増えてきました。

「イノナカミュージックの独自性」「箱内コラボが積極的なホロライブ」という方向性あったのだから、転籍は妥当のように思えます。
ただ、前述の当事者3人のコメントからすると、仲間でやってきたのが別れるわけですから複雑な思いはありそうです。

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登録者50万人記念のライブ配信では、袂を分かれたかつての同僚、AZKiとのデュエットがあり、思わず感極まっている姿にグッときます。(50:18~)

 

2020年の躍動

個人勢が楽曲で注目を集め、大手企業に所属した2019年。
しかし、星街すいせいの2020年はそれ以上に激動でした。

3D化で単独ライブ配信を行い、ネットラジオのパーソナリティ、ホロライブ3期生とコラボした佐賀事変カバーは500万再生を超え、チャンネル登録者数も爆増して50万人記念ライブも行い、日清食品 POWER STATIONこけら落としのソロライブ、そしてオリジナル曲NEXT COLOR PLANETVtuber楽曲大賞2020で1位。
ホロライブ自体が2020年で爆発的に伸びた影響も大きく、順風が破竹の如き1年でした。

現状アイドルVtuberとして大成功で、このまま波に乗っていけば十分すぎる多忙で充実した活動が続きそうな感じなんですが、何と言いますか、この子の野心は現状に満足せず、次の一手を絶えず考えてるんじゃないかな、みたいな期待を持ってしまうんです。

次の一手はどんな手で来るのか、楽しみなVtuberです。

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星街すいせい☄️ホロライブ0期生 (@suisei_hosimati) | Twitter

kyoumo-kawaii.com

これまでの活動が網羅されてるファンサイト。

*1: 一発目の動画で語られている

*2:そもそも第一線のミュージシャンに楽曲依頼できるもんなの?って疑問なんですが、そこら辺の事情は調べ切りませんでした。キタニ氏が割と広く依頼を受けてるのか、親交があったのか、バイトめっちゃ頑張って金を積んだのか、この時点でホロライブがサポートしてたのか…ここら辺の事情知ってる人に教えてほしい。

*3:Vtuber界隈には「転生」という概念があって、意味は広いのですが、ここでは「既存のVtuberの中の人が、別のキャラクターのVtuberになる」ことを指します。
元のガワの権利問題だったり、所属する企業の戦略としてキャラを一から設定した方がやりやすかったったりなどの理由があるようです。
抜きんでた個人Vがそのまま企業所属になるケースや、個人Vも参加できる支援プログラムみたいなのがあったりもしました。

*4:こちらの切り抜き参照

*5:第1回 雪山ホロ人狼 第1試合目 各視点まとめ - ニコニコ動画参照