キン肉マンネタバレ問題について 読者の不信感は無視され、怒りは矮小化されている

キン肉マンネタバレ問題については、以下のページがまとまっている。

neora30.hatenablog.com

 

 

以下は内容が重複するので飛ばせます。

 

一応流れをまとめさせていただく。

①2011年よりキン肉マンはウェブで連載されていた。

②2020年8月より週刊プレイボーイで紙連載連載復活。

ゆでたまご嶋田氏より、スクショが横行する現状への苦言が呈される。

 

④今まで「過度な画像転載」を行っていた読者は、作者の訴えを聞き入れ納得する。

⑤掲載誌、週刊プレイボーイが会社としての見解を発表し、文章によるネタバレ行為に対しても法的手段を講じることもある旨の内容に動揺が広がる

wpb.shueisha.co.jp

以下引用

たとえ軽い気持ちであったとしても、漫画のスクリーンショットをSNSやブログに著作権者の許諾無く投稿(アップロード)する行為は、法で定める一部の例外()をのぞき、著作権の侵害にあたり、場合によっては刑事罰が科され、あるいは損害賠償請求の対象となります。悪質な著作権侵害、ネタバレ行為(文章によるものを含みます)に対しては、発信者情報開示請求をはじめ、刑事告訴、損害賠償請求などの法的手段を講じることもありますので、ご注意ください。

⑥「ネタバレ」がどこまでを指すのか不明の中、ネタバレに関するゆでたまご嶋田氏のツイートが続き、「このレベルのネタバレで法的手段をとるつもりなのか?」と更に動揺が広がる。 

上の記事から引用。

私たちが一番気になったのは、他の読者の皆さんへの配慮という点です。特に『キン肉マン』は先月から『週刊プレイボーイ』でも連載を開始し、ウェブ媒体、紙媒体でさまざまな読み方ができるようになりました。つまり、それだけ人によって読むタイミングも違ってきます。かつて『ジャンプ』で『キン肉マン』をいち早く読もうとしていた少年たちも、自分が読む前に内容を話されたら怒っていたように、今回はその配慮のない行動がSNS上の一部の読者によって引き起こされてしまったのだと、私たちは考えています。

 ウェブと雑誌掲載でのタイムラグに言及。未読の読者に対する配慮を求めている。

求めるのがただの配慮、マナーの訴え、法的拘束力のない読者へのお願いなら理解できるが、続く編集部のコメントは上記の通り「法的手段」まで言及されている。 

雑誌は発売されたが単行本が出てないタイミングの「ジェロニモが超人になった」がネタバレ。  

 感想はいいけどネタバレはダメ。

 ⑦「どこまでが訴えられるネタバレなのか」の説明を一部読者は求めたが、回答は現時点でなし。 

 

 先週末から読者からの不満の声が上がっていながら、9/15(火)現在週刊プレイボーイ(以下週プレ)サイト上での反応は全くなし。

内容は「読者が出版社から法で訴えられないかの確認」というシビアなものであるため、是非明確な回答を求めたいと思うのだが…

  

以上ここまで飛ばせる

ジャンプ+云々の話は置いておく。 

 

ここまでは長い前置きであり、上記したねおらー31氏の記事内容とほぼ同じ。

こっからが本題。

読者の不信感は無視され、怒りは矮小化されている

作者や出版社の拙いやり方に不信感を持っている一部読者に対して、その怒りが的外れ、過剰だと矮小化する外部の存在がいる。

出版社が言ってない独自理論を持ち出して矮小化を行おうとする。

出版社への忖度と読者への抑圧という視点で、以下「ねとらぼ」の記事を批判する。  

nlab.itmedia.co.jp

 『ネタバレ感想で訴訟されるは誤解』『「ネタバレ」と「悪質なネタバレ」は別もの』と断言されているため、集英社の確認をとったのかと思えば、そうではなく記者の解釈によるものだった。 

「悪質な著作権侵害」と「悪質なネタバレ行為」には法的手段を講じることもある――この部分が、「ただのネタバレ行為(文章)でも訴える」とも解釈できるため、心配する読者が続出した。しかし、その後週プレNEWS編集部が問い合わせへの返事で「ネタバレ行為(著作権侵害が認められる特に悪質なネタバレ行為に対して) 」と補足している。NGなのは「ネタバレ」ではなく「悪質なネタバレ」とみて間違いない。

この「補足」、上記の「お願い」には全く記載されていないので、読者がそれを正式な文書だと判断できるものにはなりえない。

そして、「「悪質なネタバレ行為」とは何か」について書かれるのだが、これは週プレの見解でなく、ねとらぼの記者が過去の判例を元に書いているだけなのだ。

重要なのは「集英社が訴えた際に勝つか負けるか」の基準となる判例でなく、「週プレの文言をそのまま適用した際に、訴えられるか否か」なのだ。

集英社が何をトリガーとするか、を問題視しているのだ。

「訴える」と言っている以上、無理筋でも訴えること自体はできる。それだけで一個人である読者には負担だ。   

元々、担当記者の高橋氏(ねとらぼ副編集長)は読者の危惧に対して冷ややかな立場にいた。 

 

 「編集部はSNSの感想の話はしていない」と断言できる根拠はどこにあるんだろうか。「解釈によってはSNS上の感想も訴えられる」という危惧をしているのに。

SNS上の感想(文章のみ)を法で訴えることはないですよ」と週プレが補足してくれたら済む話なのに、こっちの読解力の問題に持っていこうとする。

ゆでたまご嶋田氏は上記のように「ジェロニモが超人になった」程度のネタバレも問題視するかのような態度をとっている。この程度の内容に触れる感想ができなくなる、それどころか訴えられるという危惧がある。

嶋田氏 のいう「感想」が「面白かった」程度の言葉しか許されないディストピアのようになるという危惧をしている。

漫画感想、紹介、批評、そういった界隈にかつていた自分としては、むなしいし悔しい。

 なぜ政府に対する万が一を想定できて、出版社に対する万が一を想定できないのか。

ねとらぼは集英社と企業間の取引を経た信頼関係があるかもしれないが、多くの読者にとっては単に生産者-消費者という関係性に過ぎないのに。

 

また、「ねとらぼはなぜ集英社に基準を直接取材できる立場にいながら、それをせず自分たちの見解を載せるのか」 について、「グレーゾーンを明確にするのは藪蛇だから」との旨のコメントがもう一人の副編集長、池谷氏から寄せられた。

  「ネタバレを含む感想」が「グレーゾーン」って、そうだったの?

かつて漫画感想ブログを運営していて、画像利用に関してはグレーゾーンという自覚の元行ってきた。

画像だけでなく、そもそも感想自体が出版社のお目こぼしでさせていただいてた、ってことなのか?

レビューという行為に対しての、舐め腐った見方である。

 

そもそも、先にグレーゾーンに対して「ネタバレ行為に対して法的手段を講じることもあります」と藪をつついたのは週プレである。

 

「なんで  ネタバレを含む感想がグレーゾーン扱いなの?」という疑問を寄せたところ、けんすう氏の記事を読んでくれという以下の回答が返ってきました。

 

kensuu.com

そもそもけんすう氏のこの記事も、意図は理解するが「知りたいのは「集英社」の基準をであり、そうでなければ訴訟の不安は払拭されず、その点についてはけんすう氏のまとめに意味はない。 

f:id:nadegata:20200915163347p:plain

けんすう氏による分類。

 右上の「詳細に書き起こし」は翻案権以下記事参照)に抵触する恐れがあるのと理解しますが、「核に関わるネタバレ」を問題視しようというのは、今件に関しては納得できません。

「作者からのお願い」「読者に求めるマナー」としてなら理解できますが、何度も言ってるように「週プレサイドは訴訟を検討している」という状況なのです。

そして、「ネタバレに配慮しているか否か」が非常にあいまい です。

 

正直、作者や作品を守りたいという気持ちが前に出過ぎて、それありきでそこからロジックを組み立ててませんか?

有象無象の読者よりもクリエイターサイドを守った方が業界の利益になるという判断なのかもしれません。

ですが、不当な扱いを受けているという消費者の訴えを、生産者はおろか「生産者を支持する消費者」が抑圧しようとする態度は、まっとうな界隈の行いとは思えません。

「あなた方のそれは忖度では」「忖度を僕らにも押し付けられても受け入れられない」「僕らの怒りを矮小化するな」と言いたい。

 

スクショの濫用の禁止は理解し、受け入れられています。

求めていることは、

  • 「文章のみのネタバレを訴える」という無理筋な宣言を撤回すること。
  • 「訴える可能性のあるネタバレとはこういったもの」という基準を明確にすること。
  • 「この感想はネタバレの基準に触れてしまうのではないか」という読者の不要で不毛な不安を払しょくすること
  • 読者のこうした不安を、無視してこちらの受け取り方の問題にして、ないがしろにする、こうしたことをしないこと。
  • 読者をないがしろにしないこと

そんなに難しいことを求めているとは毛頭思えません。

 

9/16追記

この記事について、ねとらぼの記事を書いた高橋氏@kk_info2 id:kingworldにコメントを寄せられたので、公平を期すためにこちらにも転載しておく。 

 

 

 

てっけん氏と多根氏のやりとりについては以下にまとめた。

 

togetter.com