id:aurelianoに対する質問状:「マンガ雑誌を面白そうに読んでいる大人を見かけると、面白さの感性みたいなものは疑ってしまう」と彼は言った

aureliano様
始めまして。「漫画は1日3〜4時間」という、漫画に関わるブログを運営しているナデガタと言います。あなたのブログの記事を読ませていただきました。
http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20081129/1227941427
この記事を読んで、気になる点が何点かありました。

ところで、ぼくがマンガを読まない理由は一つしかなくて、それは面白くないからである。

電車の中に限らずマンガ雑誌を面白そうに読んでいる大人を見かけると、「いい大人が……」とは思わないけれども、面白さの感性みたいなものは疑ってしまうのである。「どうしてあんな面白くないマンガ雑誌を、お金を出して買うことができるのだろう?」と。

現在連載・刊行されている漫画を愛する者の1人として、このような記事は非常に残念であり、この記事を読んで抱いた疑問に対し返答をいただきたいと思います。本来はメールで直接お聞きしたいのですが、連絡先が分からないのでトラックバックを送らせていただきます。

あなたは「マンガ雑誌」というメディアを否定できるほどそれを知っていますか?

あなたが読んでいるマンガ雑誌に対し、あなたが「あんな面白くないマンガ雑誌」と評する事は理解できます。ですが、あなたの記事はマンガ雑誌というメディアそのものに対しての評価の様です。
何故あなたは、自分が知っているマンガ雑誌だけを基準に、マンガ雑誌を読む人の感性を疑う事が出来るのでしょうか。
もしかしたら、この世に存在するありとあらゆるマンガ雑誌を把握し、その上で「面白くない」と言っておられるのかも知れません。
漫画雑誌 - Wikipedia
だとすれば、こんなにたくさんのマンガ雑誌を知っておられるわけですね。是非その知識を私にも披露していただきたいです。
例えば「コミック乱」や「メロディ」、「ヤングキングアワーズ」の雑誌を当然知っておられるでしょうが、これらの雑誌のどこが「読んでいる人の面白さの感性というものを疑ってしまうほど面白くない」のか教えていただきたいです。知らないのであれば、何故あなたは知らない雑誌を読んでいる人に、マンガ雑誌という共通点のみを根拠に「あんな面白くないマンガ雑誌を読んで、面白さの感性を疑う」と思えるのでしょうか。
一部を知っただけでその全てが下らないものと切り捨てるのは傲慢です。

結局は人それぞれじゃないでしょうか?

面白さなんて人それぞれという考え方もあるけれども、マンガ雑誌の売上げは本当に落ちているらしいから、単純に「人それぞれ」で済まされる問題でもないと思う。どうひいき目に見たって、やっぱり今のマンガは面白くなく、だから読む人が減ってるのだろうし、ぼくも読まなくなったのだろう。

マンガ雑誌に限らず、今のマンガ自体がつまらないとされています。記事の中で示されている根拠は、主観の他は雑誌売上げの減少のみ。これで『「人それぞれ」で済まされる問題じゃない』と言われても説得力がありません。
売上げ低下は少子化や携帯電話の普及など外的要因もあります。マンガというメディアそのものの魅力の低下をそこから論じるのはお粗末です。

自覚をしていますか?

あなたは、「今現在の漫画を愛している全ての人間」に対し、「面白さの感性みたいなものは疑ってしまう」とケンカを売っている事を自覚しているでしょうか。無いとすれば、あまりに自身の言葉に無責任であり、あるのであれば、自分の価値観でもって多数の人間を一度に見下す傲慢な態度です。

あなたが以前おっしゃった「人をdisる時にやってはいけない作法」を自ら行っていないでしょうか?

私が一番憤慨したのは、今回のあなたの記事が以前の記事であなた自身が言っていて事と矛盾していることです。
http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20080806/1218001052

『全否定してはいけない』『一般論化してはいけない』『レッテルを貼ってはいけない』『その人の過去を誉めることで、現在を貶めるようなことをしてはいけない』『小さな事実を拡大解釈したり歪曲して取り扱ってはいけない』…これらは、あなた自身がおっしゃった「disり方の作法」です。あなたは他人の記事に対しこの様な観点で批判されていましたが、今回のあなたの記事は自らが提示した「作法」を自ら犯していないでしょうか。


『全否定をしない』
→現在のマンガ・マンガ雑誌・それらを読む人の感性を全否定されています。
『一般化してはいけない』
→「現在のマンガはつまらない」というあなたの価値観を一般化されています。
『レッテルを貼ってはいけない』
→現在のマンガはつまらないとレッテルを貼っておられます。
『その人の過去を誉めることで、現在を貶めるようなことをしてはいけない』
→以前スラムダンクなどの過去のマンガ作品を絶賛する記事を書いていながら、現在のマンガはつまらないとおっしゃっています。
『小さな事実を拡大解釈したり歪曲して取り扱ってはいけない』
→マンガ雑誌の売上げの減少を、マンガというメディアの魅力の減少に結び付けています。

私はあなたが提示した「disり方の作法」を全く支持していませんが、それを元に他人を批判していながら、言いだしっぺのあなたが自らそれを破るのはダブルスタンダードではないでしょうか。あなたの言った「disりブーメラン」を見事に食らっており、ブロガーとしての信頼に関わる問題かと思います。あなたの考えをお聞かせいただきたいと思います。