- 作者: 麻生みこと
- 出版社/メーカー: 白泉社
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- 作者: 麻生みこと
- 出版社/メーカー: 白泉社
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タイトルの元ネタは言うまでも無く郷ひろみ。タイトルだけであんまり関係ありません。勢いとインパクト重視。
メロディで連載。全8巻。現在同誌で「そこをなんとか」連載中。
この物語の主人公、羽柴ヒロミ。日本一賢い学生の集う大学、T大生*1。
↑こんな娘です。
九州は鹿児島出身。頑固者な父。憧れていた自慢の姉は、父に逆らえずおとなしく枯れていく。「ここにいたら自分もヤバイ」と一念発起。ケチで頑固な父を納得させるために国立で有名な大学しかないということで、気合と根性でT大入学。
とにかくヒロミのキャラが強烈。ハイテンション・猪突猛進・トラブルメーカー。周りの秀才たちをドン引きさせつつ、気合と根性で突き進む姿に惹かれる人も。
枯れるのが嫌で東京に出てきたのだから、目指すは「粋でいなせなイイ女」。「イイ女」ってなんだ?分からずに空回る。
主人公、羽柴ヒロミのテンション、バイタリティ、思考、テンション、パワーだの、とにかくパッションに満ち溢れた姿が作品の魅力です。
このシーン、ナンパしてくるヤロー共に「謹んでお断り申し上げ」ている場面。左の女性とのセリフ数の違いから、いかに彼女がまくし立てた話し方をしているか分かるかと思います。頭の回転の速さと高いテンション、そして、決定的に欠落した空気を読む力。当然この後ヤロー共とトラブルになってしまいます。
こんな感じの罵詈雑言だったり、独白だったり、推理だったり。彼女のテンションに任せた長台詞は頻繁に見られます。この「言葉の波が一気に押し寄せる感覚」が作品の魅力の1つ。「ヒロミが次は何をしでかすんだろう」という期待感で引っ張られる作品です。
ところが、途中からヒロミに変化が見られます。ガムシャラに進んできた彼女が、明確な目標を模索し始めるのです。
あたし ここに何しに来たんだ?
「いい女になるため」
そんな漠然とした目標にあたしは近づいてる?向かってる?
目標自体見誤ってないか?
「漠然とした目標」でもそれに突き進むヒロミの姿を描いてきたのですが、ここにきて、作品の根底を覆すような「気づき」が出てくるのです。
きっかけは、共に大学生活を過ごす学友・ゴロー*2でした。あだ名の由来である「5浪」時代に回り道をしながら、今は明確な目標に向かって進む彼を見て、「自分は何がしたいんだ」と自答するようになります*3。
ただ前に進むだけだった彼女が、そこから「自分が進むべき道」を具体的に模索し始めます。そこでもやはり迷走してしまうけれど、それでも確実に「成長」していくヒロミ。
回り道を歩きながら、目標にまっすぐ進む「覚悟」を決めた彼女の笑顔。
この漫画を自分が読み始めたのがちょうど大学受験の時期でした。同じ鹿児島出身で、「オラこんな村イヤだ、東京さ行くだ」と具体的な目的も無く目指していた頃。自分とは同じ様な漠然とした目標でも、それに向かって全力で「戦っている」彼女の姿が鮮烈でした。
そして、自分が大学生になり、日々を何となく過ごしていく中、明確な目標に向かって歩き始めるヒロミの姿はまたしても自分にとって大きな刺激になりました。
それで、自分もヒロミのように就活しだしたら、次回作である「そこをなんとか」では新米社会人が主人公。個人的な見方なのですが、麻生みこと先生の作品の主人公たちはいつも自分より少し前を走っていて、それが自分にとって一つの指針になっているのです。
僕は戦っているだろうか。進んでいるだろうか。自分にとって、それを思い返させてくれる漫画です。
自分だけじゃなく、全ての人に。「戦っているか」、「前を進んでいるか」、決して優等生ではないヒロミの姿は、それを思い出させてくれるのではないでしょうか。