3巻の主役は鳥取様だ。いや、俺だ。 メイド諸君!3巻

メイド諸君! (3) (ガムコミックスプラス)

メイド諸君! (3) (ガムコミックスプラス)

ガム連載。
3巻は千代子と鳥取様の恋愛を中心に描かれています。いや、恋愛なんてもんじゃない。もっとおぞましい何かだ。
この2人の関係を説明すると、千代子はメイド喫茶の店員で、鳥取がその客。鳥取はオタクで非モテ。千代子は鳥取に惚れている。
メイドさんが客のオタを好きになるなんて、オタ向き漫画に良くありそうな都合の良いフィクションの見本のような展開ですが、それに対する鳥取様のリアクションはあまりにもリアルすぎて目を覆いたくなるのです。
千代子の好意は嬉しい。でも自分に染み付いた非モテの習性ゆえか、彼女の好意を拒否してしまいます。
・メールが来ても、何て返信すればいいか分からず結局放置。
・会いたい、でも恐い→千代子の勤め先の前をウロチョロ。ついには不審人物として従業員に確保されてしまう。
ここら辺の描写から、鳥取も千代子に好意を持っていることが丸分かりなのですが、彼の行動は非常に不合理でチグハグなものの連続です。いい歳して恋愛経験がない男の行動ってのはこんなもんなんですよ。経験者が言うんだから間違いない。
一連の鳥取様はとにかくかっこ悪い。そんな鳥取様を好きだと言い、積極的に迫ってくる千代子は、非モテのオタにとって全てを認めてくれる理想の女性像じゃないでしょうか。そこで問題なのが、鳥取様は理想が現れてもそれすら受け入れられないという事です。理想の女の子を出し、それすらまともに恋愛できないことでかえって恋愛に対する恐怖心を鮮明にさせ、かきむしる。ここに作者お得意の猛毒があります。
で、この2人がラブホに行く(!!)訳だけど、そこでのやり取りがもう酷くてですね。女慣れしてない鳥取様の濡れ場が生々しいは、「処女じゃないからイヤー」と駄々をこねるは、かっこ悪くてたまらない。でも、このかっこ悪さは、一部の読者にとっては鏡なんですよ。
男の良く分からないエゴが詰まった処女信仰は良くないです。漫画界(下半身的意味での)漢ランキングかなり上位の男、ダークシュナイダーは言いました。「俺が好きなのはヨーコさんの膜じゃない」と。はいはい、下半身でモノを考える男は言う事が立派ですね。
拒まれ続けた千代子はついに鳥取の元を離れるのだが、離れていく千代子を見た鳥取はブドウを食べられなかった童話のキツネみたいなことを言い出すのですがそれがいい歳して童貞の読者の鏡(ry
痛すぎて正視できない。酷い話だったね…
この物語もヨイコノミライ同様「何らかの目的のために登場人物を引っ掻き回す」青木杏的ポジションのキャラがいるのですが、この巻では比較的おとなしかったです。おとなしかったはずなのに、何なんでしょうかこの胃にズシリと来る痛みは。物語がクライマックスに向かっていく時僕は耐えられるんだろうかという不安が、すでに頭から離れません。