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往年の名選手の活躍が熱い オーレ! 4巻

サッカー漫画(とSF漫画)のスペシャリスト、能田達規先生が今描いているのは、地方の弱小チームに市役所から出向した公務員、中島順治がフロントの立場からチームを変えようと奮闘する物語。オーレ!4巻。

オーレ! 04 (BUNCH COMICS)

オーレ! 04 (BUNCH COMICS)

コミックバンチ連載。
1シーズン通してがけっぷちの連続だった上総オーレ。アマチュアリーグ降格のかかった入れ替え戦を行います。
対戦相手はサンガイア宮崎。宮崎活性化のためのプロジェクトの一環としてサンガイアのプロ化を目指しており、行政の強力なバックアップの元(アマチュアの割に)豊富な資金力を持っています。
入れ替え戦を通して明らかになる両チームの差。「チームの将来性」「アマとプロの実力差」と並び浮き上がるのが「ホームアドバンテージ」。これが試合を左右します。
宮崎で行われた第1戦、実力では劣るサンガイアはなんとかスコアレスドローに持ち込みました。
上総市で行われた第2戦。オーレはエースの竹内の活躍で先取点を取りますが、前半のうちに同点に追いつかれてしまいます。終始押し気味の展開ながら、中々点を奪えない。そんな中、ディフェンスの要、レネ・ヴォルガンフが負傷退場してしまいます。交代で入った選手は芝田誠ニ。
この芝田という選手、長年オーレを支え、かつては「ミスターオーレ」と呼ばれたスタープレイヤー。5年前にオーレがプロリーグに参入した際には中心選手として活躍していたのですが、故障などにより近年は出場機会も減り、ついには戦力外通告を受けてしまうのでした。点を獲らなければいけない場面で、選手としての峠が過ぎたDFに最後の交代枠を使わなければならないのは、普通に考えれば不利な状況。しかし、この選手交代で流れは一気に変わります。
ミスターオーレ、芝田の登場に、観客はこれまでにない歓声をあげます。

 芝田だ
ミスターオーレ芝田誠二だ!!

シーバータ!!
シーバータ!!

芝田ーっ
お前を待ってたぞー!!
芝田ーっ
ミスターオーレ!!

オーレを救えるのはお前しかいない!!

僕こういうの駄目なんですよ。こういうベテラン選手とファンの絆みたいなもの見せられると、思わずうるっときちゃうじゃないですか。
観客はみな芝田が中心選手として活躍した時代を、上総オーレが盛り上がっていた時代を覚えていたのでした。スタジアムの熱気はそのまま選手にも伝わり、完全にオーレが試合の主導権を握ります。
とにかく芝田投入から試合の流れが一気に変わる描写の「熱さ」は、これはもう能田先生しか描けないんじゃないかというほど、とにかく凄い。
「オーレ!」が描いているのは、地方の弱小サッカーチームが直面している厳しい現実です。そのため、他のスポーツ漫画で重点的に描かれる「勝利することの快感」はなかなか描かれることはありませんでした。それを最後の最後、チームの危機の場面で一気に盛り上がる展開に持ってきて、読んでいる身としてもかなり熱くなりました。この場面で主役を、戦力外を言い渡された「脇役」に持ってこさせるあたりが能田先生のこだわりを感じます。
しかし、やっぱり厳しい現実に話は戻ります。竹内と芝田の活躍でリーグ残留を決められたのですが、この2人は来年いなくなる選手です*1。つまりオーレはいなくなる戦力でかろうじて残留したのです。
1年を通して問題が山積みだったオーレ。この状況を打破するために、オーレはどうするのか。それを見てみたいです。何としてももう1シーズン、オーレの戦いを見せてほしいです。

*1:芝田は戦力外・竹内は元々レンタル移籍で、期間終了のため