さんりようこ先生のワイルドな一面 ひとには、言えない

ひとには、言えない。 1 (ぶんか社コミックス)

ひとには、言えない。 1 (ぶんか社コミックス)

ひとには、言えない。 2 (ぶんか社コミックス)ひとには、言えない。 3 (ぶんか社コミックス)

現在「B型H系」を連載中、この漫画でブレイクしたさんりようこ先生の作品。さんり先生の作品集に「ソフト」「ハード」というものがあり、内容は名前のまま、ほのぼのとしたものとエッチなものが対照的に分かれています。さんり先生のソフト面の代表作が「猫の手借ります」ならば、ハード面の代表作はこの「人には、言えない。」です。

B型H系との共通点
主人公の女の子がHな所。傍から見たらそうは見えないというのも一緒。
B型H系はここで説明する必要も無いだろうから省略。
人には、言えない。の主人公吉田真琴は、地味な印象の23歳OL。付き合った経験なし、もちろん処女、周りからはおとなしいと言われています。そんな清純そうな彼女は、実はエッチだった、というお話。

B型H系との相違点
●性描写・展開がガチであること
B型〜の山田さんは、「セフレ100人出来るかな」などというぶっ飛んだ性的願望を抱えた女の子なのですが、願望を抱いているだけで実行には中々移せないでいます。ここら辺が彼女の初々しさ、素直じゃないというツンデレ的可愛さがあります。
対する真琴、こいつはガチです。
・連載開始早々、痴漢されて「じわ♡」
・Hなことに対する興味のみでナンパしてきた見ず知らずの男と即H。これで処女喪失
・2回目のHも初対面の男と。しかも青カン
・2回ともゴム無装着で性病にかかる
こうやって羅列していくとただの淫乱な女という印象を与えてしまうかもしれませんが、あくまでも真琴は地味で優しい女性なのです。
●性格の違い
山田の性格はイケイケです。女王様体質です。実は弱い面もあるのですが、基本は強気。一方真琴は気の弱い性格。「エッチなことばかり考えている」という特徴で共通しているのですが、強気か弱気かで物語の展開は大きく変わっていきます。
小須田が山田に対して迫る時、山田は時折それを拒絶します。そういう行動を取るのは、普段の性の好奇心と表裏一体の10代が普通に持つ異性への恐怖というのも原因です。ですが、普段小須田に迫っている山田がそれをできるのは、2人の関係において山田の立場が圧倒的に強く、この関係の主導権を握っているからだとも言えます。こういう山田だからこそ読者は、山田の素直になれなず小須田を振り回したり、暴走していく様(最近だとノーパン登校など)を「良いツンデレだなあ」と楽しむことが出来るのです。対して真琴は・何度も繰り返してしまいますが・気の弱い性格のため男性にトコトン振り回されます。山田の性的好奇心を持ち、かつ男性にノーと言えないとどうなるか。落ちるところまで落ちていきます。B型H系が山田のギリギリの行動が故に、いつまでたっても進展しない恋模様を長く楽しめるのですが、ひとには〜は真琴がなされるがままでドンドン話がキナ臭い方向になって行きます。
圧巻なのが3巻の展開。浮気性の彼氏と別れ、自分を愛してくれる新しい彼氏と付き合いだしたのだけど、だんだん彼の束縛がきつくなっていって…終いには「おいおいこれってギャグ漫画だろ」とツッコミ入れたくなるほどのサスペンスな展開を迎えます。
嵐のような状況が過ぎ去り、恋愛に対し億劫になってしまった真琴。それでも性への執着は消えません。一番の相違点は、大人向けの雑誌だからこその性と恋愛に対するかなり突っ込んだ価値観が描かれているところだと思います。基本ギャグ漫画だし、誇張は大いにあるのですが。
B型H系がヤングの読み物ヤングジャンプで連載されているため、ちょいエロがありながら安心して読めるのに対し、ひとには、言えない。はおっさんが読者層の大半であろうみこすり半劇場別館*1で連載されていたが故に女子供はお呼びでない感じのハードなエロ路線で突っ走ってました。こんな漫画を10代で読んでた僕はどうなんだろうか。
きつめのエロ描写が苦手な人には、もちろんオススメできません。でも面白いですよ。

マンガがあればいーのだ。 山田12歳、初めての「B型H系」
ひとには、言えない。の紹介もあります。

*1:岩谷テンホー先生を主軸にしたエロ4コマ誌。別館の方は休刊。