ナツ100感想 少女漫画編

■ひつじの涙 日高万里
外れなしの日高万里作品の中でも、一番好きなのがこれ。ヒロインの強さと弱さの相反する要素のバランスと、そこからの前向きさに心を打たれた。相対的に男主人公はヘタレになってしまっていたけど、こいつの(少女漫画のヒーローにもかかわらずの)好感度の高さもまた良かった。ラストがビシッと決まってて、単行本のあとがきも良い余韻があって、完成度が高いと感じる。全7巻できれいにまとまった作品。

■世界で一番大嫌い 日高万里
日高万里を知った作品。とにかく第1話がビシっと決まってた。メチャクチャビシっと決まってて、第1話を立ち読みして気づいたら全巻まとめ買いしてた。
これほど第1話だけで衝撃を受けたのは、いまだにすごいよ!マサルさんとこれだけだ。全然ベクトルの違うけど。

天使禁猟区 由貴香織里
神だとか前世だとかの大風呂敷を、見事に包みあげた大作。
ラストシーンで、あるキャラがキスをするシーンがあるんだけど、そのシーンのそのキャラの今までのストーリーを経てのその相手への気持ちが全て注がれているようでいつまでも印象に残っている。寸止めとか切なすぎ!
ナルシストの弟がまた良い味出してた。こう「美形過ぎて変態」キャラは少女漫画ならではだと思う。
ラストをどう締めるか作者は悩んだそうだけど、もう一方のラストを選ばなくて本当に良かった。

しゃにむにGO 羅川真里茂 花とゆめ連載中
ルゥイ、今度こそ!
この一言に尽きます。テニス漫画の傑作は誰が何と言おうとこっち。

■天然素材で行こう 麻生みこと
天然というか、常に自然体なヒロインとその周りの人間の物語。実は複雑な愛憎関係にあったりするのだけれど、読んでいてそう感じさせないのは作品の雰囲気とヒロインの人柄の賜物。
…かと思ったら、終盤でその交友関係にヒビが入り、そこから正にドミノ崩しのように今までの関係が崩れていきます。「ドミノ」と付けられた副題の通りに。今までの清々しい空気になじんでいた身としては激しいショックを受けました。
ところがこの「ドミノ」という副題は、「ドミノのように崩れていく」状況を示唆しているものではないことが分かります。ここんとこの展開が神がかってます。
あぁ駄目だ語り足りん。麻生みこと先生に関してはいつかまた詳しく書きたいと思うのですが、いかんせん読解力と文章力が追いつかない。

■そこをなんとか 麻生みこと メロディ連載中
そんな麻生先生の新作。始まったばかりだけれどすでに良い味出てます。人物の描き方とかとにかく色々好きな作家。

レナード現象には理由がある 川原泉 メロディ連載中(短編シリーズ)
分類分けすれば恋愛短編なんだろうけど、そんな言葉じゃ収まらないのが川原泉。いかにも少女漫画のヒーローなスーパーな男が、クセのある女の子に振り回されて次第に惹かれていくって図が良い感じ。独特のテンポというか空気というかは実際読んで感じてみてください。



■キス&ネバークライ 小川彌生 KISS連載中(現在月1)
一言で言えないんで、パス。何回か言ってるけど、傑作になると確信してます。

■わたしのせんせい 小川彌生 BETH連載中
キスネバが暗めな分、こちらではハジけてます。自キャラと自身をここまでネタに出来るのかってのがエンターテイナーの鑑。「キスネバは暗いから人気がない」とか自虐的過ぎだよ。