ナツ100感想 ギャグ・コメディ編 

■俺に血まなこ おおひなたごう
おおひなたごうの短編集の代表作、俺に血まなこシリーズ。力持ち、トリップ、ギョジャえもん、ヨネスケなどの代表的なものから名前のないキャラまで全てインパクト大。おおひなたワールドの魅力はキャラにあり。

フェイスガード虜 おおひなたごう
2002年ワールドカップでDFの宮本選手が鼻の骨を骨折してフェイスガードをしていたのを覚えているだろうか。あのクソダサいフェイスガードもW杯の場の雰囲気でかっこ良さげに扱われていたのが印象的だった。それから数ヶ月たってW杯の熱も下がり、一過性の人気を得たフェイスガードがその反動で最もダサいと思われる時期に、フェイスガードをつけた主人公の漫画の連載が週刊少年チャンピオンで始まった。それがこの漫画である。そのチョイス、タイミングに脱帽。
全単行本リスト - おおひなたごう◆SILVERY NOTE

神罰 田中圭一
近年の田中圭一を語る上で外せない作品。この短編集発表が「田中圭一=手塚+αパロディ」というイメージを決定付けた。
手塚キャラを思わせる女性キャラが、本宮テイスト溢れるおっさんに陵辱される。それだけでも眩暈がしそうだけれど、手塚キャラっぽい女の表情やら体型やらの再現度の異常な高さが眼を見張る。
巻末のしりあがり寿との対談で語られた、「手塚さんって、エロいのをすごい描いている」という言葉は、ただただ偉大な漫画家としてしか捉えることのできなかった自分の中の手塚治虫像を覆すものだった。
カバー裏の、「ギャルゲーの登場人物の手塚キャラをBJ、ロック、手塚先生本人が攻略する」っていうネタが最強。知らない人が読んだら混乱必死。「次は・・・奇子だ!!」「そうこなくっちゃ!!」とかもう勘弁して。

■COMICサイテー 田中圭一
名は体を表す、正に最低の作品集。最低ゆえに最高。「闘えハンラウーマン」などの作品収録。基本的に田中圭一の漫画は良識ある人には受け付けられないものだから注意。

椿ナイトクラブ 哲弘
田中圭一の次に哲弘紹介するとか、酷い選考になったもんだ。
登場人物皆変態。作者も変態、編集も変態。でも一番頭がおかしいのは、この漫画が大好きな読者なのだろうか。飛び交う暴力、ブルマ、乳首(男)、アオリのハートマーク、読者のクエスチョンマーク・・・
走り続けた連載はついに終わりを迎えてしまった。最近チャンピオンを読んでも心に穴が開いた気分になるのはこの漫画がないせいだ。哲弘分が足りない。早く帰ってきてくれ。

■不死身のフジナミ 押川雲太朗
何故街中でそんなにドンパチできるのか。説明不能のアナーキーバトル。自分の欲望に正直すぎる武器商人が主人公。こいつがとんでもなく厄介な悪なのだが、それなのにどこか憎めないのは世界観がナチュラルに狂ってるからだろう。同じような作者のダイナマイトダンディという麻雀?漫画も主人公がやりたい放題なのだが、フジナミの方はタイガーという敵役の存在が大きい。とにかく屈強、そしてしつこい。ラストバトルは必見。

■アイドル地獄変 尾玉なみえ
保守層、週刊少年ジャンプ読者に受け入れられなかった「10年早すぎた漫画家」が、新天地として選んだ場はビジネスジャンプだった。今度こそなみえの活躍が存分に見れると思ったら、ここでもまさかの打ち切り。全1巻。「打ち切り作家」の悪名を決定付けることになった。

■ロマンティック食堂 尾玉なみえ
尾玉なみえの迷走の軌跡の短編集。小学4年生までにも細々と読みきりを描いたりしているのだが、やはり受け入れられず。少年エスパーねじめのプロトタイプなど読んでも、かなりの初期からこの人の得意な才能は出来上がっているのが分かる。一刻も早く代表作を作ってほしい。

じゃりン子チエ はるき悦巳
アニメ映画化、2度のTVアニメ化、小学館漫画賞。全然マイナーじゃないけど、昔の漫画なのでもしかしたら読んだことない人案外いるんじゃないかと思って入れておいた。
ちっとも働かない、腕っ節が強いことだけが自慢のボンクラ父。父の換わりに働く自称「日本一不幸」な少女。って説明不要か。60巻以上続くコメディ。後期作者は作品の中で自嘲気味に「マンネリ」という言葉を使ったが、同じスタンスで毎回チエたちを中心とした喜劇を生み出したことは素晴らしいことだ。どの巻を適当に手にとっても面白い、長寿漫画の鏡。今から読む人にとってありがたいのは、1巻(たまに2巻)ごとに作品のまとまりがある所。ある程度キャラをつかめたら、適当に単行本を手に取るとその巻から話の流れが始まる作りになっている。文庫版だとそう行かないのが残念。

■ゴーゴー♪こちら私立華咲探偵事務所。 渡辺航
短い間だったけれど毎週心から楽しませてもらった。
大人の事情でやむを得ず連載は終わったのだけれど、限られた話数の中できっちりしめてくれたのがありがたかった。ここら辺を某童貞魔法漫画も見習ってほしかった。

■なんだかコワレ丸 矢也晶久
こういう手堅いコメディ作が好き。月ジャンなくなってもまたこういうの読めるだろうか。

宇宙家族カールビンソン あさりよしとお
何をしても面白いおとうさんは最強キャラ。マニアックなパロディの元ネタは半分以上分からない。「マルチプルタイタンパー」って言葉がやたら頭に残る。

■GO WEST!! 矢上裕
西部開拓時代のアメリカ、家族をたずねてアメリカの地を訪れた黄色人種の少女の前に現れたのは、自分の父だと名乗る白人の男と、兄だと名乗る黒人の男。探し物を見つけるため、ひたすら大陸を西へ進む。
全4巻。自作の「ヒッカツ(全3巻)」といい、矢上先生のこういう短い連載作はすっきりしていて好き

■純喫茶のこりび 伊藤耐
伊藤耐の一連の作品を代表して、単行本が入手しやすそうなこれを。現在イブニング、バンチ、その他実に様々な雑誌に時事漫画を描いているのですが、時折強く心に残るネタを放ってくる。基本は担当との打ち合わせ風景を描くのが作品のキモ。

ニニンがシノブ伝! 古賀亮一
台詞回しの面白さ、テンションの高さ、女の子のムチムチ具合。溢れる古賀亮一テイスト。

ナツ100感想 連載作品編