文系男子の地味な恋 とめはねっ! 1巻

前作のイメージは渋いオッサン達の渋ーい勝負の世界。何でそれを少年誌でやってこれが青年誌なんだろうなと思います。河合克敏先生最新作は高校書道部が舞台、とめはねっ!1巻。

とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

ヤングサンデー連載。どのようなストーリかを語るより、どのような主人公かにスポットを当てて書きたいと思います。
主人公大江縁(ユカリ)。高校1年生、カナダからの帰国子女。「いつも眠そう」「ガチャピン顔」「ガッカリ帰国子女」とのアダ名をつけられる、典型的な地味な男子。ガッカリ帰国子女はあまりに秀逸。彼は弱い。あまりに弱い。
一方ヒロインの望月結希。美しい容姿、勝気な性格、柔道全国2位の実力と、ユカリとは正反対の高嶺の花。
入学式でキレイなヒト=望月に話しかけられただけで驚き、彼女に憧れるユカリ。彼の恋愛っぷりが実に文系地味男子の典型で心を打ちます。
「男だったらもっと男らしい字を書きなさい」と望月に言われたユカリ。後日、どうしてそんなに書道の練習をがんばるのかと望月に聞かれ、ユカリはこう答えます。
「“もっと男らしい字が書きたい”と思って。」
このセリフ、彼にとっちゃ愛の告白並みに勇気を振り絞って出した言葉です。様は「君に好かれるような男になりたい」って事ですから。そんな彼の心は全く伝わらず、普通にスルーするどころか更にきつい言葉を浴びせる望月。ユカリくんが不憫でならない。
骨折したり、海岸に望月さんの名前を書いたり、1つ1つのエピソードが彼の情けなさを協調するかのよう。ここら辺非常に共感できる人は多いんじゃないでしょうか。この地味で駄目で空回ってすらいない、でも本人にとっては必死な思いの恋愛模様。高校時代を地味に過ごした人なら思い当たる部分があると思います。
凶暴な性格が多い書道部の女性陣。顧問は彼女らに押されて強く出ることが出来ず、男が弱い文系社会を協調しています。同じ男でもユカリと恋敵になるキャラは気の強い不良系だったり爽やかな美少年だったりで、あらゆる面でユカリの弱さを引き立てていきます。
そもそもキャラの成り立ちからして不憫。連載前の作者の取材で高校の書道部を訪ねたところ部員はほとんど女子、しかも「字の上手い男子」に対して「キモーイ」というあんまりな評価。書道部なのに。書道部にすら「キモイ」と言われる字の上手い男子が主人公だったら面白いのではないかということでユカリというキャラが生まれたそうです。嗚呼、不憫。
確かにヒロインは魅力的。ですがこの魅力的なヒロインに恋してしまった地味な主人公の、勝算の無い恋愛模様にこそ僕はこの作品に期待します。

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