率直な感想は「嬉しい誤算」 学園革命伝ミツルギ

絵柄からは想像もつかない、くだらないギャグ漫画です。学園革命伝ミツルギ3巻。

学園革命伝ミツルギ (03) (CR comics)

学園革命伝ミツルギ (03) (CR comics)

コミックラッシュ連載。
絵柄とのギャップを武器にするギャグ漫画があります。例えば少女マンガらしい可愛らしい絵柄でダジャレを連発するにざかな先生や、初期の劇画調や手塚パロの絵柄で直球のシモネタを投げつける田中圭一先生など。この漫画はビジュアルファンタジー風の絵柄。作画担当の行徒先生は栗本薫先生の小説のコミカライズもされているそうです。ビジュアルファンタジーなんて聞いたことも無い言葉ですが、確か秋葉原とらのあなでそういう風に紹介されていました。やたらミツルギを推していて、この漫画を知ったのはここがきっかけでした。

〜あらすじ〜
この物語は、少子化に伴う高校の統廃合の進むなか生き残りをかけ、大胆な学園改革によって生徒数増加に挑む、派亜怒雲高校生徒会の闘いを描いた青春巨編である―。(3巻表紙より)

基本的には、生徒会長の美剣散々や他の面子が学園を盛り上げるために見当違いな改革を推し進め、周りの人間、特に生徒会唯一の常識人、会計の緑川青羽が被害を被るという展開。「変人に囲まれた凡人」という図のギャグ漫画は好きなので読んでいたのですが、3巻は今まで以上に楽しめました。失礼な話、そこそこの笑いしか期待していなかったので。

この手のギャグは、被害者である常識人がどの様なリアクションをするかでギャグが活きるかどうかが決まってきます。マサルさんのフーミンは絶妙な間でツッコみ、うる星やつらのあたるは宇宙人以上の生命力で逆に攻め込み、かってに改蔵のちたんは一緒に変人へ変貌するなど、キャラそれぞれの個性が出ます。
ミツルギの緑川は、ただ普通にツッコみ、ついにはキレるといった感じなんですが、なんとも普通で物足りませんでした。しかし、3巻という時間を経て緑川のキレ方に怨念めいたものが見え始めたのがパワーアップに繋がっています。生徒会のアホな行動に何だかんだで付き合ってきた緑川が、もう精神的にも一杯一杯なのが見てとれまして。緑川には悪いけど、この漫画は彼が苦しめば苦しむほど笑える漫画なので。母親を生徒会に連れて行かれて、怒り狂ってバット持って襲撃する緑川。かなりテンパって来ているのが良い傾向です。

怒り狂った緑川に叩かれた後の美剣達の表情がとぼけた感じで可愛いのですが、美剣のキャラに「茶目っ毛」が出てきたことも良い効果になっていると思います。今までその場の勢いで常に高飛車に突き進んでたのですが、ある時自分の失言で「テレ」を見せます。たった1回の場面なのですが、美剣にもこんな一面があるのだと思うと単行本全体の美剣の像も変わって見えます。

あと中二階堂三一という男がいるのですが、この男の存在が無くてはミツルギは成り立たないでしょう。ハッタリめいた品位のある美剣とは全く逆の、外道一直線。

8月3日5日はハミ子の日。これが一番大事。