買うに決定だろこれー ブルードラゴン ラルΩグラド 1巻

Blue dragonラル・グラド 1 (ジャンプコミックス)

Blue dragonラル・グラド 1 (ジャンプコミックス)

ジャンプに長らく見当たらなかったファンタジー。綺麗な絵柄のエロ描写。第1話目で自分のストライクゾーンにズバンときました。
15年間引きこもっていた少年ラルは、すっかりスケベに育ってしまいましたとさ。エロ第一で行動するも、締めるところでしっかり締める所がかつてのジャンプの主人公像のようでこれも好きな点。主人公のせいか女キャラが頭軽めなせいか、少年誌らしい露骨過ぎないエロ具合になっています。ちょっと昔までのジャンプらしい漫画です。
結構クドクドと喋るラル。ラルの好奇心に溢れて物事を探求する喋りは、アフロ田中の自問自答のようなじわじわとくる可笑しみがあります。他にも頭のネジの外れたラスボスの珍ゼリフの数々に、ラルに振り回されるカフカの一杯一杯のツッコミなど、セリフだけをみてもコメディ部分にも結構いい味が出てます。
一級の絵師である小畑健先生の描くモンスター・カゲや人物に建物、そしてなによりアクションシーンの迫力。全てが作品の世界観を盛り立てます。
ここまでかなりいい感じに思える漫画なのですが、どうしても気になってしまう点が1つ。イマイチ爽快感が無い。これってファンタジー漫画において致命的だと思います。長ったらしいセリフは独特の空気があっていいと思うのですが、それがアクションシーンにまで引き継がれちゃってるからせっかくの見せ場がスカっとしません。ハッタリの利かせ方が下手な印象です。本当にもったいない。
1巻で一番強くそれを感じたのは、第4話、ストラ城を取り囲んだカゲたちをラルが一掃する場面。ラルの戦闘に関する頭脳とグラドとの圧倒的な戦闘力、華麗な絵による迫力満点の見開きでのアクションシーン。ここまでは凄いものなのですが、同じ画面の中にミオ先生の長ったらしい解説が入っちゃってアクションシーンの迫力が台無しになっている気がします。「城のてっぺんに!! わかったわ 敵が城を取り囲んでるのを利用して…………!!やっぱりあの子 戦う事には天性のものを持ってる!!」という重っ苦しいセリフ。やっぱり〜以降は次のページに回したほうが戦闘シーンのインパクトは強くなると思うんですよね。
色ボケのようで実は頭の切れるラルの、ただの必殺技合戦ではない頭脳戦。ジョジョが週刊にいない今この戦いは貴重なものなので、今後はカタルシスももっと感じさせてくれるものになってほしいです。
ラルグラドに期待していたものを満たしてくれているのが聖痕のクェイさーだったりします。チャンピオンREDという場のせいか(主に性的な意味で)エキセントリックなものとなっていますが、戦闘シーンの「良くわかんないが、とのかく勢いがある」描写はラルグラドには無い魅力。こっちの主人公は武器を振るった時にはバックの文字で「究極の恐怖を!!!」のみだったり。その言葉自体の魅力ではなく、アクションを盛り立てるための最高の「飾り」言葉になっていると思います。まぁ「ラルグラドもクェイサー見習えよ」というのは暴論でしょうが。絵から感じさせる迫力はラルグラドがかなり勝っていると思いますし。
好きな漫画なだけに、気に入らないところが一点でもどうしても気になってしまいます。でも概ねは楽しんで読んでいるわけですが。