ものっそい初歩的な4コマ漫画家の紹介

優飛さんから「4コマ雑誌はマイナー」という旨の指摘を受けました。確かに周りに4コマ雑誌を読んでる人はいませんし、コンビニでバイトをしている先輩にも4コマ雑誌は全然売れないとよく聞きます。そこで、あまり4コマ誌を読まない人にそこで活躍する漫画家を何人か簡潔に紹介したいと思います。4コマ雑誌を読んでいる人にとっては当たり前のラインナップ過ぎて何の面白みも無いと思いますが。あと施川ユウキ先生などの主に一般漫画雑誌で連載されている漫画家は除きます。


■むんこ先生
今最も勢いのある4コマ漫画家で、連載作品はどれも雑誌の主力、毎回表紙を飾る作品もあります。作品の魅力は登場人物のいきいきとした姿。どの作品も女性が主人公なのですが、その人となりは売れない小説家の妻、新人OL、小学生(片方は成績優秀だけど恋に奥手、もう一方はダメな父親を叱咤しつつ仲睦まじい、あと野生児)という感じで、それぞれ違った面白さがあります。それでも話の根底に流れる「優しさ」「暖かさ」はどの作品にも共通しています。これは他のファミリー向け4コマ漫画にも言えることですが、むんこ作品は特に顕著です。4コマ一本無音という手法を良く使いますが、それで躍動感を出すというのはなかなか他の漫画にはない長所だと思います。むんこ先生をよく取り上げるサイトにDAIさん帝国さんがあり、そちらで興味を持った方も多いのではないでしょうか。
DAIさん帝国さんの「はいぱー少女ウッキー!レビュー

オススメはベタですが「らいか・デイズ」。らいかと竹田の小学生らしい恋愛模様が見事ですが、脇を締めるクラスメイトなどの他のキャラがまたいいんですよ。読んでいて幸せになれます。

らいか・デイズ 4 (まんがタイムコミックス)

らいか・デイズ 4 (まんがタイムコミックス)

livedoor
ここからむんこ先生の作品が少し読めます。

みずしな孝之先生
ファミ通など様々な雑誌で連載をもつみずしな先生ですが、それでも「本職は4コマ漫画家」と言い続けている先生です。(多分今も)幕張サボテンキャンパスなどのヒット作を持ち、現在連載中の「けものとチャット」はネコと会話ができる女子高生のお話。元々よく題材にしたネコにスポットを当て、ネコの可愛さ・バカさ・憎たらしさに溢れています。また、もう1つの得意分野である自分の日常を漫画化した「うわの空チュートリアル」は、舞台俳優としても活躍中のみずしな先生と愉快な仲間達の様子が描かれています。ちなみにその前身は月刊少年ジャンプ連載でした。

ササキ様に願いを+ (バンブー・コミックス)

ササキ様に願いを+ (バンブー・コミックス)

僕がこの作者を知ったのは「ササキ様に願いを」でした。横浜ベイスターズの守護神・佐々木が主人公で、普通実在の野球選手が登場する4コマ漫画は選手をむやみにコキ下ろすというイメージがあり好きではなかったのですが、それを覆してくれるほどに選手への愛が感じられる作品でした。近藤元監督以外。その近藤氏のロッテ監督時代「名将」と位置づけて描かれたのがハロルド作石先生のストッパー毒島で、ササ願以上の野球界への偏愛が見て取れました。ちなみにロッテ時代の近藤監督は18連敗という伝説を作り上げました。
参考までに近藤昭仁 - Wikipedia(一時リンクミスしてました)
話が激しく逸れた感が否めない。

小笠原朋子先生
この3人が僕が特に好きな4コマ漫画家です。
煮え切らない展開なんだけど心をくすぐるラブコメ、シンプルな絵柄なんだけど妙に可愛いキャラクター。不思議な魅力のある作家です。1回掲載されるページ数が少ない4コマ漫画は、漫画家が同時に何本も連載を持つことは全く珍しくないのですが、小笠原先生は特に顕著。去年だけで何本の連載が終わり、また始まったことでしょう。
オススメはさくらハイツ102。そのちゃんがすっげぇ可愛くて何度悶えた事か。ものっそいスローペースで煮え切らないラブコメ展開を続け読者を焦らします。でも連載読んでて焦らされるのが楽しかったなぁ。スローペースってのは連載で読んだ場合で今単行本で読めば全3巻であっという間。浦島太郎になった気分です。

さくらハイツ102 3 (アクションコミックス)

さくらハイツ102 3 (アクションコミックス)

小坂俊史先生
簡素で味のあるギャグ4コマが特徴。4コマ誌ではストーリー4コマが台頭している中、1つの4コマでオチを付ける傾向は若手〜中堅の中でかなり高いほうじゃないでしょうか。(断定できないところに知識の浅さが見え隠れです)特に「やまいだれ」は顕著。病気をテーマにしているためやや不謹慎なネタも多いですが、これが一番好きです。まだ単行本化されていないので待ち遠しい。最近連載を終えた漫画よりも、やまいだれや「幼稚の園」のほうが1回1回のギャグ傾向が強くて好みです。始まったばかりなのでいつ単行本になるやら。
むしろ一般漫画誌で光る作風だと思うのですが、現在はビックコミック増刊のみ。4コマ好きのヤングアニマルとかなじむと思いますが。
小坂俊史を追いかけているレビューサイトで真っ先に思い浮かぶのは、猫は勘定にいれませんさん。そちらでどんな漫画か伝わってくると思います。
猫は勘定に入れませんさんのひがわり娘最終巻レビュー
21style
作者のサイト。

松山花子
小坂先生は4コマ誌では珍しいシニカルさがあります。4コマ雑誌の特徴は万人に受け入れられるであろう毒の無さだと思うのですが、その中にいて毒を吐き続ける漫画家が松山花子先生です。むんこ先生と好対照の読後感。

私が会社に行く理由は、松山花子的エッセンスがぎっしり詰まった作品だと思います。容姿端麗なイギリス人の夫を溺愛し、し過ぎるあまり変装して同じ会社に勤める。当の夫は「日本人を髪型でしか判断出来ない」ため妻が同僚にいることに全く気付かない。そして、夫と共にする時間を守るために周りを最大限に利用する。ラブラブな2人のはずなのに、殺伐としたものを感じます。
作品の中に漂っているのは男性優位社会に対する批判。けっこうここがクドく描かれているのでここら辺で受け入れられない人は出て競う。ですが、同時にそれにムキになって対抗する女性の滑稽さも描かれてます。作者の出身はいまだ男性優位が根強い九州・鹿児島というのが作風に影響されていると思います。同郷の漫画家、河原泉先生もまた独特の性意識があるように感じられますが、面白いのは両氏とも地元鹿児島で制作活動をしているというところ。ここら辺が実に鹿児島らしい。ちなみに僕も同郷です。
「九州男子」名義でBLモノも描いているようですが、BLはちょっと敬遠してしまいます。好きな漫画家の作品なので興味はあるのですけど。

■ÖYSTER先生
男爵校長」は元もえよん連載らしいので萌4コマと言えるでしょうが、光の大社員は主要キャラはほとんど男で萌4コメとは言えるのか分かりません。僕の認識では萌4コマ漫画家でなく、男爵校長も萌よりまず笑いが前に出てきます。それぞれのキャラクターを前面に押し出すのは萌4コマの特徴だと思いますが、それを笑いに転化するのはかなり上手いです。
萌4コマは去年から読み出したばかりでまだ全然知らない分野です。



語り足りないけどとりあえずこれだけ。
どれだけ参考になるか分かりませんが、4コマ雑誌を全く見ないという人が少しでも興味を持ってくれたら幸いです。