濃密な1巻 東雲太郎版キミキスvol.1

幼なじみが欲しい。何故俺は転勤族の親に生まれたのか。(父さん母さんごめんなさい)そんなことを思わせる漫画、ヤングアニマルではヒロインが変わって連載中のキミキス。原作はエンターブレインからでた恋愛シミュレーションゲーム(非エロ)です。

キミキス 1―various heroines (ジェッツコミックス)

キミキス 1―various heroines (ジェッツコミックス)

オビには「各種漫画感想ブログで大絶賛」とのこと。確かに色々なサイトで取り上げられていました。以前の大炎上さんの記事がなくなったのが残念です。ゲーム原作の漫画ということで未プレイの自分が楽しめるかと最初は思ったのですが、全くの杞憂でした。
何が凄いって、キスだけなのにとにかくエロいって所です。
年上の幼なじみがキスを教えてくれるとか言い出して、キスする場所は何故かヒザ。ひざまずいてヒザにキスするっていうSM的なシチュエーションに表情や体の節々の確かなエロさが重なり初っ端から夢中にさせてくれました。唇にキスしたいというと「お・あ・ず・け」と言われます。この寸止め具合がたまらなくエロい。主人公の悶々とした気持ちがこっちまで伝わってきそうでした。
終始指導権を握るヒロインの摩央姉ちゃんが徐々に弱気な部分・甘えたくなる性格・そして何より主人公への好意を表に出してくるのですが、何が凄いってそれを含めて話が1巻に収まっていること。一応vol.1という表記になっていますが、摩央のエピソードはこの巻で終わりであり、1巻完結でここまでのラブコメを読んだことがありません。エロ出身ということもあり色気のある絵はお手の物でしょうが、エロ出身者だからこそ難しいであろう「直接的でないエロ表現」や、話のまとめ方など、東雲太郎先生の凄さを感じました。
成人漫画出身の朔ユキ蔵先生が、つゆダクでいかにもエロ出身という印象のセックスばっかする漫画を出した後、ハクバノ王子サマで「直接的でないエロ」を出してきてかなり驚きました。東雲版キミキス(恐らく)商業誌デビュー作(3/17訂正)でなおかつ1巻だけでそれをやってのけるんだから、本当に凄いですよ。話題になるのは当然かと。
ここまで面白いとゲームしなくてもいいやと思えるほどなのですが、そこら辺はエンターブレインとしてはどうなのでしょうか。でも2とか出たら絶対買うだろうから、2出すとしたらこれ以上ない宣伝効果でしょうね。
友人と昼飯を食っているとき摩央姉ちゃんがやってきて、色々話をした挙句「週末に家に来る」なんて言い出す。実にうらやましいシチュエーションですが友人にしてみたらたまったもんじゃありません。



●3/17追記
「一般紙デビュー」と書いたつもりが「商業誌デビュー」と書いてしまい、なおかつ東雲太郎先生は昔コミックブレイドで連載していたという2重のミス。気をつけます。
指摘してくださったya53さん、ありがとうございました。まだまだ記述の誤りや誤字は多々あると思うので、ご指摘ドシドシ募っております。