カモン!カモンルゥイ! ルードヴィッヒ革命

果たしてここを見てくれている人がどれくらい花とゆめを読んでいるのか不安ですが、由貴香織里先生の新刊と聞いてほっとけるわけがありません。
さかのぼれば8年前から読みきりとして描かれていたものが、去年から別冊花とゆめで連載が始まり、2年半ぶりに2巻発売となりました。童話という題材を由貴香織里テイスト満載で送る、ルードヴィッヒ革命

ルードヴィッヒ革命 第2巻 (花とゆめCOMICS)

ルードヴィッヒ革命 第2巻 (花とゆめCOMICS)

〜あらすじ〜(2巻から引用)
昔々ある国に「ルードヴィッヒ」という王子さまがいました
王子さまは大変美しく一昔前の「びじゅある系」をほうふつとさせましたが気位が高く大変女好きでした
困った濃ゆい顔の王様は「ちゃんとした嫁となる姫君を連れて帰るまでは帰ってくるな」と王子を追い出したのです
旅の最中 いろんな姫と会いますがこの王子とバチコーンとくる少女はそうそういません
王子を憎む殺し屋の「赤ずきん」やへんたいの魔女のドロテアから逃れ今回もルーイ王子とお付きのヴィルヘルムの旅は続きます

自分の妃となる美人で巨乳の女を探して旅をする美形で女好きのルードヴィッヒ王子。毎回毎回綺麗な姉ちゃんを口説く珍道中。出てくるお姫様はグリム童話をモチーフにした設定なのですが、どれも一癖も二癖もある女ばかり。おチャラけたルードヴィッヒに負けないくらいの個性で話が進んでいきます。いままでの由貴先生の連載作で一番コミカルな展開。旅で出会う姫を全て胸基準(巨乳◎ただし爆乳は×)のルーイ王子(ルードヴィッヒのこと)。魔女ドロテアはドMで、ルーイ王子のサドっぷりに惹かれて旅を共にします。中世ヨーロッパっぽい世界なのに何故かアキバ系のキャラが登場、Tシャツ姿のキャラなどやりたい放題やってます。
とはいえベテランの由貴先生。おちゃらけだけでは終わらず、物語のオチはきっちり黒くグロく仕上げます。グリム童話自体の残酷さに、由貴先生独自の視点のストーリが進展します。
由貴先生の作品の魅力を語るときに、絵の力も無視できません。容姿端麗という言葉に説得力のある王子を始めとした登場人物たち。その中に、地味な容姿という設定のカトラインには説得力がありましたし、耽美な絵柄の少女マンガにありがちな読みにくさを感じない、普通の少女マンガを読む人にとってはスラっと読める画面構図です。
ルーイ王子の命を狙う赤頭巾の設定には納得いかないというか、王子の過去の悪行の被害者という気がしてなりません。そこら辺は今後の展開でフォローして欲しいところです。
何故これほどの人が別冊で描いているのかわかりません。少女マンガは毎号掲載という事はないので連載間隔のきつさも考えづらいですし。本誌のほうで描かない理由でもあるのでしょうか。少女マンガ誌は別冊のほうが売れているもの(別マなど)はありますが、花とゆめにはそれは当てはまらないと思います。

今月の19日から始まった、由貴香織里先生のオフィシャルサイト
Yuki Kaori Official Web