押川雲太朗新作

今は休刊してしまったヤングマガジンアッパーズ、とても好きな漫画でした。はっとりみつる先生咲香里先生は少年マガジンで活躍してますし、餓狼伝バジリスクピアノの森魔女っ娘つくねちゃん・REDなどは他誌に移って連載を再開しました。何故休刊されたか分からないくらい面白い雑誌でした。
その中でも一番好きだったのが、不死身のフジナミ。武器商人の藤波が商売繁盛のために町に争いをもたらすというアナーキーな物語。藤波の「ケヒョ」という人を馬鹿にした笑い方とタイガーさんのありえない強さとカニ好きっぷりが好きで毎回楽しんで読んでいました。
その作者、押川雲太朗先生の本業は麻雀漫画。その最新作は荒正義原作のリスキーエッジ。

リスキーエッジ 1 (近代麻雀コミックス)

リスキーエッジ 1 (近代麻雀コミックス)

フジナミで押川先生を知った僕にはあまりにギャップがある、緊張感のある博打麻雀の世界です。最初はフジナミ懐かしいなって感じで読んでたんですが、次第にこの作品の空気に魅せられていきました。
主人公吉岡光正は博打麻雀で生計を立てる大学生。ひょんなことから後輩の井上を助けるために自分を庇護していた賭場経営者の青柳と縁を切る。後ろ盾を失い、更に金も失った吉岡がリスクと隣り合わせの麻雀勝負をする物語。
麻雀は点数計算が出来ないくらいの素人なんですが、リスキーエッジの麻雀は分かりやすいです。この牌を切ったら危ないという場面で吉岡はことごとく止め、その中から勝機を見出します。
負けを許されない戦いの中で常に勝利をあきらめずない吉岡。逆境でも自身の勝利を信じ、笑みを浮かべる。金ではなく勝利そのものを求める吉岡は、あえて危険に向かっている気さえします。その生き方とは裏腹の硬い麻雀。
1巻はまだ序の口で、これ以降からさらに重いリスクを背負った勝負をしていきます。危機をことごとく防ぐ吉岡に毎回息を飲みます。

麻雀漫画は傑作がたくさんあるので、それを読むためだけでも麻雀のルールを覚えていいと思います。