水の惑星より愛をこめて

大量に漫画を買っていると、どうしても古本屋に頼らざるを得ません。そうなると、好きな漫画はすぐに手に入らないし、ずっと手に入らない場合もあります。

ARIA 9 (BLADE COMICS)

ARIA 9 (BLADE COMICS)

ARIAの9巻を購入。AQUA1〜2とARIA1〜5までは持っていたのですが、それ以降は古本屋ではなかなか見つかりませんでした。
ARIAは静かな話です。特に何か事件が起こるわけではないのですが、日々の暮らしの中の何気ない出来事が実は素晴らしいのだと感じさせてくれる秀作です。
逆に言えば、話を飛ばして読んでも楽しめる漫画だと思っていたのですが、さすがに2年近く飛ばして読むと多大なミッシングリンクがありました。
まず9巻の感想を。
42話「自分ルール」
アリスは大人ぶっている中に、歳相応かそれ以上の子供っぽさがありますね。そういった一面が出て来るたびに、キャラクターに愛着が湧きますね。とても好きなエピソードです。
ちなみに僕がアテナさんを見たのはこの話で2回目です。
43話「幼なじみ」
実は晃、アリシアと暁、アル、ウッディが子供時代に一度会っていたというお話。
そしてみんな頭文字が「」。他のキャラもみんな「あ」からなのは、作者のこだわりなのでしょうか。ウッディ本名綾小路だし。多すぎです。そして何故綾小路51世→ウッディ?
44話「プリマ・ドンナ」
新キャラかなと思ったら藍華でした。表紙でも気付きませんでした。
そして45話「お月見」この巻最大のミッシングリンクがここで出てきました。
いつもの3人でお月見のはずが、藍華が勝手にアル召集。アリスが「いつの間にアルさんが来ることになっていたんですか」とイヤミを吐くと藍華は「星絡みのイベントだから」と、それっぽいこと言って返します。それに対しアリスは一言「ほほーっ そうですか」。完全に14才に見透かされています。その後藍華無意識ながらの巧妙な罠で井戸の中で2人きりになる藍華とアル。井戸で2人っきりってのはつまりめぞん一刻ですね。お調子者のウッディに落とされるキザな暁酒に酔った晃が出てくるかと思えばそうではなく、2人でのん気に月を眺めています。
5巻では流れ星に掛けてアルに対する藍華の気持ちを暗に表したのですが、今回は火星とその月の距離を二人の関係に置き換えています。
「着くことも離れることもできずにぐるぐる回っているんですよ」
「どっかの誰かさんのようだわ」


アクアの近くを回るルナツーを見て、
「・・・近いのね」
「はい」
2人の距離も近づく。月と自分を重ね、涙を流す藍華
「なぜ泣くんです?」
「近すぎよ」
アル、藍華を見つめて、
「火星の影響を受けているのは月ばかりに見えますけど 
 火星にとっても一番身近な質量保持者は月なんです
 火星だって月の影響を受けているんですよ。」
もうこれ愛の告白じゃねーか!
井戸から脱出した後にはこっそりと藍華の手を握るアル。アルかっこいい。藍華かわいい。下手なラブコメよりラブコメしちゃってます。

この巻最大のミッシングリンクは、藍華の髪形の変化でもなく、藍華とアルの関係の変化でもなく、ARIAという作品の感情表現の巧みさが上がったという事だと感じました。もともと優れてはいたのですが、これほどまでに男女の微妙な関係を表現するとは思いませんでした。場面場面の藍華の表情の変化が見事でした。
正直退屈な話もあったのですが、その退屈さの中から輝くものを取り出していくのはもともとこの漫画の魅力のひとつで、今巻はそれも活きていました。
僕の中でARIAが「古本で買う漫画」から「新品で買う漫画」に格上げです。だめだ!!古本はあてにならねぇ!!
とか言いつつ、古本もあてにします。

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